インタビュー
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患者さま一人ひとりにとっての一番重要なこと。それを聞き漏らさないように、時間をかけてお話を伺います。
学生のときに独学で臨床心理を勉強し、心の奥深さを知り心療内科を専門にしました。患者さまの悩みは時間をかけて伺い、無理なく通院いただけるように配慮して診療にあたっています。
医師を志したきっかけと、心療内科の医師になったきっかけを教えてください。
内科と小児科の医師だった父が、えらぶった振る舞いをすることがなく、いろいろな方に慕われている姿を見て、自然と医師の道へ導かれました。そして、大学生のときに独学で臨床心理の勉強をし、カウンセラーの助手としてボランティアに参加したことが、心療内科の医師を目指すことになったきっかけです。そこでは主に遊戯療法をしている子どもの相手をしていました。
人間の身体も奥深いですが、人間の心というものは実に奥深いものだと、ボランティアで実感させてもらいました。その後実習が始まり、いろいろな科をまわる中で、身体の悩みを抱えている患者さまは多くの場合、心の問題も抱えているのだなあと思ったものです。そういう経験も心療内科へ進むことを決心する後押しになったと思います。
どのような患者さまが来院されますか? また、通院される方への配慮を教えてください。
患者さまは学生の方からご高齢の方までと幅広く、「気分が落ち込む「不安を感じる」など悩みもさまざまです。そして、それぞれのお仕事や家庭、学生であれば学業に差し障りなく通院していただけるように配慮し、「何曜日が一番、通いやすいのか」など、患者さまのご都合を伺いながら、次回の予約をお取りしています。
実は私が開業した背景には、お仕事をお持ちの方でも通いやすい体制で診療したいという思いがありました。一度よくなっても、お仕事を再開されると通えなくなってしまい、再発される方をこれまで多く見てきたからです。そのため、できるかぎり通いやすくというのを特に大切にしています。
診察の際に心がけていること、診察のモットーを教えてください。
仕事の問題であったり家庭の問題であったり、学生であれば学校でどのような状況にあるかなど、患者さまが悩まれていることは、お一人おひとりで異なります。ですから、病気の症状を診るだけでなく、初診時はその症状のバックグラウンドも含め、特に時間をかけてお話を伺うようにしています。
また診察では、「はい・いいえ」で答えられる質問で限定しないようにしています。中にはご自分の状態をうまく言葉にするのが難しいという方もいらっしゃいますが、質問を限定してしまうと、一番重要なことを言えなくなってしまうおそれがあるため、「どうしていらっしゃったのですか」などとお尋ねして、自由にお話ししていただけるようにしています。
院内のデザインや空間でこだわっている部分があれば教えてください。
とにかく明るい空間になるよう、その間取りにはこだわりました。ビルの最上階の南側に位置する待合室には一日中光が差し込み、夕日も望めます。夏は強い日差しにブラインドを下ろすほどの光にあふれ、冬や雨の日などはブラインドを開けて自然の光の明るさが心落ち着く空間を作っています。院内の電気についてもより明るくなるようLEDライトに変更しました。また、乾燥する季節には加湿器を設置し、院内での感染予防にも努めています。
さらに、院内をいかに安全な環境にするかということにも取り組んでいます。以前、お子さまが机の角に頭をぶつけてしまったことがあったため、机にはコーナーガードが取り付けてあります。これには、当クリニックで実践している医療事故もしくはそうなりかねなかった事態(インシデント)を報告する体制もとても役立っていると思います。
お悩みをお持ちの患者さまへメッセージをお願い致します。
学校や家庭、会社は私たちが生きていく上でなくてはならないものです。しかし、患者さまを悩ませている原因の多くは、これらのコミュニティーの人間関係が作りだしているのが現状です。今や心の病はがんや脳卒中、糖尿病などの患者数を超える国民病とも言えるものになっています。悩んでいるのはあなただけではありませんし、心の病は珍しいものでも、恥ずかしいものでもないのです。とにかく一人で抱えこまずに、一度相談しにいらしていただければと思います。
休職が必要な場合には、休職診断書をお出しします。家庭でDVがある場合は、DV相談所へ紹介することができます。また、心の病の特徴的な症状に「不眠」があります。連続して3日「眠りが浅い・眠れない」といった症状があれば、病気なのではないかという考え方もしてみていただければと思います。